総会・講演会・交流会報告

2019年5月25日(土)に、NPO法人マリンネットワークの2019度総会及び講演会、交流会を開催致しました。たくさんの方々にご参加、ご協力を頂き、無事開催できましたことお礼申し上げます。以下、内容に関しましてご報告致します。

1.NPO法人マリンネットワーク総会

日時:2019年5月25日 14:00~14:30
開催場所:TKPガーデンシティ札幌駅前
出席者数 31名

正会員数総数101名(個人75、法人26) のうち、出席者65名(うち委任状出席者38)で、正会員数の1/2以上の出席をいただいたので、総会が成立しました。片石理事長が議長に選出され、4つの議案について審議をしたところ、原案通り異議なく可決されました。総会資料はこちらです。

総会1総会2総会3

議長(片石理事長)
参加者31名
高須賀監事

2.講演会

日時:2019年5月25日 15:00~17:15
開催場所:TKPガーデンシティ札幌駅前
出席者数 41名

■講演 15:00~16:00

<地域における取組の紹介>
講演1.糸島地域 浜の活力再生プランの取組~糸島地域全体の活性化を目指して~
平成30年度 浜の活力再生プラン優良事例表彰 農林水産大臣賞
糸島漁業協同組合(福岡) 参事 吉村寿敏 様

講演2.歯舞地区マリンビジョン協議会の取組について~知名度向上のための歯舞水産物のブランド化推進(トレーサビリティの構築)~
平成30年度 北海道マリンビジョン21コンテスト 最優良賞
歯舞漁業協同組合 参事 中村直樹 様
(根室地域(歯舞地区)マリンビジョン協議会)

講演3.浜の活力再生プランの取組み
平成30年度 浜の活力再生プラン優良事例表彰 水産庁長官賞
苫小牧漁業協同組合 総務部部長代理兼課長 赤澤一貴 様

講演1講演2講演3

糸島漁業協同組合
吉村参事
歯舞漁業協同組合
中村参事
苫小牧漁業協同組合
赤澤総務部部長代理兼課長

〇糸島漁業協同組合吉村参事の主な講演内容(講演スライドはこちら
 浜の活力再生プランの活動のうち、①ハマグリの資源管理と価格向上(漁業者自らの厳しい資源管理、関西出荷、県内PR,直販などによる単価向上)②サワラの高鮮度出荷による単価向上と消費拡大(高鮮度処理したサワラを岡山へ出荷し単価向上、地元の消費拡大)③直接販売による価格向上の取組み(農協直売所と連携した水産物直売により、単価向上、経費削減、所得増加、作業の軽減などの効果が得られた)④カキの直接販売と資源の再利用(カキ養殖とカキ小屋の実施、異業種連携によるカキ殻の再利用) の4つの取組みと成果についてお話しいただきました。

〇歯舞漁業協同組合中村参事の主な講演内容(講演スライドはこちら
 北海道内で最も単価の安かった根室・歯舞の活タコのブランド化に向けた取り組みと効果、2段階トレーサビリティ(漁業者⇒加工業者⇒消費者)の構築、消費者に対するアンケート調査、歯舞漁港の将来像についてお話しいただきました。歯舞漁協の市場に活魚水槽を導入して、漁業者が選別した選りすぐりの活タコを「金たこ」とネーミングし商標登録するとともに、活きの良さが市場で評価され、浜値が向上した。根室から約600㎞離れた加工場と、関西圏の居酒屋の協力により日本初の2段階トレーサビリティに取り組み、消費地での市場調査も実施した。

〇苫小牧漁協苫小牧漁業協同組合 総務部部長代理兼課長 赤澤一貴部長代理の主な講演内容(講演スライドはこちら
 ホッキ貝の資源管理と販売PRによる知名度向上で、漁獲量、単価ともに向上した。広域連携によるマツカワカレイのPR、苫小牧漁協独自に行った商圏の拡大と研究機関との連携による長時間輸送技術開発などにより、漁獲量、単価ともに向上した。これら取組の結果により漁業所得の向上につながった。

■トークセッション 16:00~17:00

「これからの漁業と地域のビジョン・目指す姿について」
コーディネーター:遠藤仁彦氏(NPO法人マリンネットワーク理事)
パネリスト:吉村寿敏様、中村直樹様、赤澤一貴様

トーク1トーク2トーク3トーク4

コーディネーター
遠藤理事
パネリスト(左から)
赤澤氏・吉村氏・中村氏
佐伯浩顧問
森利男
前苫前町長

トーク5トーク6トーク7トーク8

遠藤理事の進行により、パネリスト同士のクロストーク、フロアからのコメントや質問など活発なトークセッションとなりました。
主な内容は以下のとおりです。
〇吉村氏「輸出についてどのような考え方をお持ちか(他の2漁協に対して)。糸島は地元に来ていただくことをまずは考えている」
 -中村氏:国内での消費を根付かせたいと考えている.
 -赤澤氏:海外は販路の1つととらえ、苫小牧の立地など地域特性を活かしながら取り組んでいきたい。
〇中村氏「立地条件の良い両地域における都市漁村交流の方法について教えてほしい」
 -吉村氏:博多に寄港したクルーズ客が来ているし、福岡のベッドタウンとして若者の居住も増え、おしゃれな店や工房が多くなって賑わいが出てきた。カキ小屋も持ち込み可にして来易いように工夫している。
 -赤澤氏:都市型だが、工業地帯の印象が強く、市民の水産に対する認知は低いと思う。近隣の白老町にアイヌ文化発信の拠点として「民族共生象徴空間」が来年オープンするし、苫小牧中央インターの整備予定、IRの誘致もしていることから、苫小牧では今後は観光も重要になると考えている。
〇赤澤氏「両地域の取組みにおける苦労や課題など教えていただきたい」
 -吉村氏:苦労の連続。カキ小屋は仮設の建物なので、毎年設置と撤収が大変だった。市街化調整区域の解除を進めていただき、やっと常設構造物として整備が始まった。
 -中村氏:苦情の連続。活タコはいつも道内最低価格で入札後はいつも漁業者から叱られた。課題は次に何をするか。
〇コーディネーター「函館のホタテの貝殻処理はどうしているのか」
 -高谷理事(南かやべ漁協):チョーク材料や、コンブ残渣と混ぜて肥料にする。最近、ホタテの斃死が多くなっており、今後大変な問題になると思う。
以下、フロアからのコメントや質問など
〇「根室の美味しい冷凍タコ足は、煮ダコが主流の西日本へも加工・販売方法を工夫することで販路を広げられるのではないか。また、糸島のハマグリの漁獲から販売までの過程を教えてほしい」
 -吉村氏:砂出しに3日かかる
 -中村氏:関西はたこを生で食べる習慣がないらしいが、大阪で市場調査をして刺身を食べてもらったところ美味しいと驚いていた。
〇「儲けるために長続きしてもらう必要があり、地元への効果が得られるように工夫しなければならない」
〇「消費者の立場から見ると、価格は安い方が消費拡大につながるのではないかとおもうが、岡山に高鮮度処理したサワラを出荷するという発想について聞かせてほしい」
 -吉村氏:岡山がサワラの価格がいいということは元々知っていた。福岡では2級品の認識で需要はそれほど無かったが、地元で消費拡大したいと思い様々なイベントやPRを行っている。糸島のサワラのうち高鮮度処理したものは5割。
〇「地元で食べていただくことが重要だと思いながら話を聞いていた。漁業者の顔が見える販売方法が上手くいった背景を教えてほしい。
 -吉村氏:もともと朝市、夕市で対面販売を行っており、漁業者に抵抗はなく、徐々に進めていった。
〇「糸島のICTの活用について聞かせてください」
 -吉村氏:直売場での販売状況を逐次漁業者に配信し、その状況を見て漁業者は追加で加工したり出荷している。そのようなシステム作りも難しいものではなかった。
〇「各地域にお聞きしたい。糸島で漁協の直売場をたてたときの場所の選定などのポイントを教えてください。歯舞の金たこを消費者が信頼できるポイントは何か?苫小牧高専との技術開発でマッチングのポイントは?」
 -吉村氏:イオンモールに出店の話があり、モール内ではなく同じ敷地内に建てることにした。
 -中村氏:市場調査した居酒屋でリーフレットを配り、トレーサビリティのQRコードに動画を関連付けた。
 -赤澤氏:漁協は腰が重いので強いリーダーシップを持って動くことと、いろんな人とかかわりを持つことが連携につながったと思う。

■NPO法人マリンネットワークの活動報告 17:00~17:15

片石温美(NPO法人マリンネットワーク理事長)
総合司会 折谷久美子氏(NPO法人マリンネットワーク理事,NPO法人スプリングボード・ユニティ21理事長)

活動報告1活動報告2活動報告3

司会:折谷理事
会場の様子
会場の様子